2023年6月17日の日記

フィニアス・ニューボーン・ジュニアのハーレムブルースというアルバムがとても好きです。ベースがレイ・ブラウン、ドラムがエルビン・ジョーンズというメンバーのピアノトリオ。Apple Musicで出てこないので、いまだにCDで聴いている数少ない愛聴盤です。

タイトル曲のハーレムブルースは、聴いていてとてもワクワクさせられます。爽快なソロピアノから始まり、2コーラス目からのトリオ演奏に弾みをつけてくれます。なんならこれリピートでも過ごせるくらい、好き。

ただこの曲、以前からどこかで聴いたことあるんだよなーと思っていたのですが、先日品川駅に停まって発車メロディを聞いた時にその疑問が解決しました。ああ最初の8小節が「鉄道唱歌」だ、と。

ハーレムブルースと鉄道唱歌、別に繋がりがあるとかでもなさそうですが、ハーレムブルースのコード進行で鉄道唱歌歌っても、その逆にしても違和感なさそう。と思ってその時はなんか得した気分で帰途についたのです。その時は。

で、その後日、ふとしたきっかけでレイ・ブライアントのアローンアットモントルーを聴いたら、その一曲目がモロにハーレムブルース。なんなら鉄道唱歌のこと忘れちゃったくらい。え、このアルバム、ハーレムブルースやってたっけ?と曲名を調べたら、

Gotta Travels on

え、ハーレムブルースって、あのアルバムだとフィニアスのオリジナルってクレジットされているんだけど、この曲違う人の作曲になってる、どういうこと?とプチパニック。おちつけ。

調べてみるとGotta〜は1958年にピートシーガーが録音したカントリーの曲で、レイ・ブライアントはそれをカバーしていたのですね。ボブ・ディランもカバーしてるんだって。へえ。

ちなみにレイ・ブライアントはこのソロ演奏以前にもトリオで1966年に録音を残しておりました。ということは、フィニアスは1969年にこの曲と実に似た曲をオリジナルとして発表していることになるんだけど、それってどうなの、という気もしますが、最後の4小節が全然違うということで良しとしましょう。

で、このGotta Travels onも元ネタがあるようで、その曲は1920年代には楽譜が発売されていたそうな(Yonder Comes the High Sheriff)。ずいぶん古くなったなーと音源をあたってみても当然見つからず、YouTubeに足を伸ばしてようやく歌ってみた的な動画を発見。わずか70回再生。マニアックすぎるだろ。

でこれを聴いてみると、確かにGotta Travels onに似ているんだけど、もっと似ているのあるよなー、と頭を捻っていると、ああそうだ、あれだ、鉄道唱歌だ。となり、また鉄道唱歌に戻ってしまいました。

鉄道唱歌は1900年に発表したされているっぽいので、Yonder〜の参考音源のなった可能性もなくはないのかなー、と思うと、じゃあフィニアスのハーレムブルース聴いて鉄道唱歌を思い出したのはあながち間違いでもないんだな、と無理やり結論づけることに成功しました。

この一週間くらい、そんなことをずーっと考えていました。