2021年5月11日の日記

最近、細野さん界隈のミュージシャンの本を読む機会がとても多かったので、バランスを取るわけではないですが、つい先日お亡くなりになった村上ポンタ秀一さんの「俺が叩いた」を読みました。前後半2冊のうちの1冊目、前半部分です。グイグイに引き込まれ、あっという間に読み終わってしまいました。

ドラマーの方が読めばまた違う味わいになるのでしょうが、ベーシストが読むと「ポンタさん目線でのベーシスト評」がたまらなく楽しいわけであります。高水健司さん、小原礼さん、アンソニー・ジャクソン師に高橋ゲタ夫さんまで、愛の詰まりまくったエピソードが宝物のように出てくる。

特にあの高水さんが、19歳のころには「ナウヒーシングス~」のミロスラフ・ヴィトウスばりにウッドベースを弾きこなしていたとかいう部分は、高水さんのエレベマエストロとしての側面しか知らない私の固定概念をぶっ壊し、驚きのあまり椅子ごと後ろに倒れそうになったものでした。

あと嬉しいのが、細野さん界隈の方々との魂の交流。「SPACY」とか「FLAPPER」を通じたリスペクトに満ちた思い出話が、たまらなくいとおしかったりします。ポンタさんと林立夫さんはそんなに影響し合った仲だったのか。とかね。同じアルバムで叩いていると、どっちがどっちだかわからなくなるとか、もう愛が濃密すぎて呼吸ができない。

これ読むだけで、今流行りの昭和歌謡をよりリッチに体験できるんではないかなあ、と思える、本当に貴重な書でございます。それに加えて、ミュージシャンの最前線にいた人が、本当に国内外の音楽の最先端を追求していたという事実が、猛省の念というか、私の中のフロンティアスピリットというか、そういった諸々に対して刺激しか与えてくれない。こういう本を名著と言わずして何と言う。

はよ後半戦読みたい。